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2008年6月30日 (月)

「看護の宅配」10年を振り返って

看護の宅配根本です。開業してから「いつの日か、村松先生にここで講演していただきたい」と思い続け、やっと夢が叶うのだと嬉しさと緊張が交互になり、じっとしていられないのです。

思えば、東京の病院に勤めていたころ(20年くらい前)に、退院された患者さんが、訪問看護を受けながら自宅で安らかに息を引き取られた、と訪問看護師から報告を受けた時、とても衝撃的でした。入院中はナースコールを押し続け、看護師がその人の側から離れることが出来ないくらい、強い不安とパニック状態だったあの人が?訪問看護…在宅看護って?興味が押さえられず、病院の訪問看護師を捕まえては話を聞き、いつか自分も訪問看護をしたいと考え始めました。結婚し、茨城県勝田市(現

ひたちなか市

)に来て、これからは訪問看護の仕事がしてみたいと、とある病院へ面接に行った時その考えを伝えたところ「私はそんな看護協会みたいな考えは嫌いです」と一蹴されました。…じゃ、と席を立ちかけた時に取り敢えずは働いて欲しい、と言われパートとして入ったものの、そこでの看護は…。なぜ同じ医療費看護費を払っているのに、受けているケアはこんなに違う?悲しくて悔しくて、患者さんに申し訳なさで一杯でした。

そんな時に、出会った一冊の本。それが「開業ナース」でした。様々な看護に関する本を読みあさり、自分のしたい看護を模索していた時、本当に乾いた砂に水が染み込むように、ストンとまっすぐに胸に落ちて来た「開業ナース」は私のバイブルになりました。(いつか、必ずこの村松さんのように開業したい)と思い始めました。その頃、知り合いのナースから新しい病棟を作るので病棟婦長として来ないかと誘われ、のちに共に「看護の宅配」を設立することになる、Yさんと出会いました。Yさんが主任、そして私が婦長となった新しい病棟は、脳外科の慢性病棟でした。そこで退院される患者さんの退院後の生活について、「もっと、在宅で不安なく暮らせるには…」と話したものです。退院する患者さんや受け入れるご家族を目の当たりにするたび、開業への思いが抑え切れなくなりました。

「私、開業ナースになる!」Yさんと、私たちの思いに賛同してくれた事務員の三人で、会社を設立することにしました。会社名は「ねぇ、誰でもどんな所でも、ピザを頼めるように気安く看護を頼めるようになるといいよね?看護を出前してくれるところ…看護の宅配…とかはどう?」書いたり口に出してみると、しっくりくる。自分達の思いも込められている。こうして「看護の宅配」は平成十年四月一日、

ひたちなか市

に誕生しました。

意気揚々と旗揚げしたまではよかったのですが、40万円かけたチラシの効果も虚しく、仕事の依頼は…。目減りする資本金、次第に会社内の雰囲気もギクシャクしてきました。「もう、こうなったら開業ナース育成研修へ参加して、教えを乞うしかない!」と決意し応募しました。(もしかして、勝手に開業した私の事を拒絶されるかも…)という不安が胸をよぎりましたが「村松代表が是非おいでなさい、とのことです」との返事に、開業ナース育成研修へ参加出来ることになりました。研修初日に村松先生と直にお目にかかった時の感動は忘れられません。慈愛のこもった温かい眼差しで、泣きながら話す私に一つ一つ頷きながら耳を傾けてくださいました。そして「これから、一生お付き合いしましょうね」とのお言葉をかけてくださいました。

実り多い四ヶ月の研修を終えた時、本当の「開業ナース」として、新しい自分に生まれ変わったように感じました。それからの看護の宅配は……件数は少ないものの、ALSの患者さんの訪問の他、大腿骨骨折の方、癌末期の方の看取りなど今でも思い出深いかたたちとの関わりを持たせていただきました。時には、施設に入所中のお母さんを息子さんが温泉に連れていきたい・思い出を残したいと言う依頼もあり、日帰り旅行への付き添いなどもお引き受け致しました。

十年を振り返ると、決して平坦な道程ではなかった。何度「もう、止めてしまおうかな…」と逡巡したことか…。でもその度「開業ナース」の一文が頭に浮かびました。「やるからには、十年は私一人になっても続ける…」そう、十年。私も十年続けよう。続けて行けば、きっとそのさきに何かは見つけられる…。今は、定期的な訪問看護についてはケースはありません。介護保険が始まるとともに、居宅介護支援事業所の指定を受け、ケアプラン作成をしています。十年続けてきたことで得たもの、この地域に「看護の宅配」という、民間の訪問看護をする会社があるんだって、介護保険でケアプランを作ってもくれるらしいよ、と知っていただけたこと。そして、様々な療養者様・ご家族様との出会い。

「看護の宅配」は、これからも歩みはのろくても、じっくり看護について考え前進していきたいと思います。

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コメント

落合恵子著「母に歌う小守唄…その後」を読み終えました。ついこの前まで読んでいた、頁をめくるのが遅くなりがちだったエリザベス・キューブラー・ロスの本とは断然ちがうスピードで、本当に一気に読み終えました。美しい花々と音楽をいつもその傍らに漂わせ、愛して止まないお母様の介護の日々を綴った、その文章に微笑んだり(ときには爆笑も)行間に涙したりしました。この本の中にチラッと出て来る在宅看護の看護師さんたちがまたステキなんですよ〜。皆様、機会があればご一読くださいね。

投稿: 根本美貴 | 2008年7月 9日 (水) 18時30分

10年ひと昔と言いますが、10年続けることはとても大変なことだと思います。
会社が10年間存続するのは、2割弱、それも女性の経営者の場合は、もっと少ないと言われています。
村松代表も凄いですが、「看護の宅配」も凄いです。
更に次の10年に向かって頑張ってください。
応援してます。
私も、10年続けたい、と思います。

投稿: (株)アイナース | 2008年6月30日 (月) 19時16分

10年間、よく続けてこられましたね。その間、書かれているように何度も辞めようと思われたことでしょう。
でも、この先10年をめざし頑張ってください。そしてその先また・・・。
昨日、近所の方と話しました。
この地域には24時間体制で往診、訪問看護に駆けつけてくれるところはある?在宅、在宅と国は勧めるが、今の乏しい支援体制では本人・家族の負担があまりに大きい。行き詰って暴力、放棄、心中など追い詰められる人の気持ちがわかるような気がする、と。
地域に根ざした「看護の宅配」がある。いざとなったら駆け込んで助けてもらえる。その情報があるだけで安心できるものです。
看護師には介護ではない”看護”を受ける側は望みます。
じっくりでも、ますます磨きをかけ、これから出会う方々の期待にこたえる看護を今後もめざしてください。
遠くから応援しています。

投稿: たてたてよこよこ | 2008年6月30日 (月) 18時10分

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