2月24日、笹川記念医療保健協力財団主催「日本財団在宅看護センター」起業家育成記念フォーラムに参加した。
日本財団、主催者両会長のあいさつの後、元厚生省事務次官辻哲夫氏、日本訪問看護財団理事長清水嘉与子氏、元祖開業ナース村松静子氏、東京財団研究員兼政策プロデユーサー三原岳氏の講演と質疑応答。高齢者の質の低下した健康を地域で看るには看護の力で、と「在宅看護センター」事業立ち上げについて財団理事長喜多悦子氏から説明がなされた。
超高齢社会に突入する我が国の差し迫った予想図に、現状を如何に改革していくか各氏専門の立場からの具体的な提言があり、「治す医療から支える医療へ」「生活の場での医療と介護」」「受ける側の目線を重視」「在宅医療を含む包括ケア」等々、内容が濃く15分の持ち時間はあっという間でもう少し伺いたかった。
都会に住む身にとって“病んでも行き場が無くなる”、すなわち近い将来、東京では高齢者の急激な増加で病院が患者を受けきれなくなるという図式にはショックを受けた。
受ける側が生活の場で自己決定出来る医療と介護、そこを支えるには地域にある多職種と連携し24時間切れ目ない支援の繋ぎ役として担い手になれるのは看護師である、と。看護師の持つ予防機能、生活・地域を看る(診る)目、対話力・コミュニケーション力・説明力を駆使し自己決定を支えられる専門職として看護職への期待は非常に高い。
最近、友人知人(高齢者)から「こういうときはどうしたら・・・」と相談される。病院の医療者(医師・看護師)との関係、自身の健康不安、老々介護による不安・ストレス、セカンドオピニオンのこと、治療の選択・・・。素人の輩へ頼るしかないのだ。「日本財団在宅看護センター」の開設の趣旨はまさに今必要とされるところである。
4月からの診療報酬改定で病院から在宅へ、がより強く打ち出された。「時々入院ほぼ在宅」(2/13朝日新聞)、生活の中の医療がますます進む。虚弱や質の低下した健康人を支える治療前の医療は看護の出番、今でしょ!!
会場からは経営についての質問があった。元祖開業ナース村松氏は「自身で稼ぎ出すこと」“在宅”の言葉さえ無い時代に起業、「看護」にこだわり看護を追究、知恵を絞って関連事業を展開してきたからこその言葉。これぞ起業マインドである。
今は在宅医療、訪問看護と看護師の社会の中での認知度も高くなっている。そしてさらなる期待の看護である。指示待ち、指示下ろしではない主体的看護、看護が社会を変える、それは看護界全体にかかっているのではないだろうか。
笹川記念医療保健協力財団のこの事業は起業・運営・経営を担うことができる看護師を養成し資金面等強力な支援体制もある。志のあるナースにはこの機会に是非手を挙げ、地域住民の“自己決定を支える場”を作って欲しいと願っている。
24日の『看護師が社会を変える』というタイトル、あんな横断幕になって掲げられているのを見て、「世の中は変わってきたな」と思いました。笹川会長や紀伊国会長の言葉の力強いメッセージに、この事業にかける本気の思いが伝わってきましたが、行政を代表してと言われた辻先生の「24時間体制の訪問看護が今後の介護医療の不可欠の要素」「必ず重要視される」「医師と家族の間にあって医療をコーディネートする力はナースの力」など これほど訪問看護の力を評価した言葉を聞いたことがないと思うほどでした。その後、村松先生が「感無量の思い」と言われた時には、私までが胸いっぱいになり心から「こんな時代が来たんだ」と喜びがあふれるのを感じました。
訪問看護が最後まで人を人間らしく生き切るための支えになることを、実体験から語られた村松先生の言葉は、これからの訪問看護を目指す方たちへの何よりのエールになったと思います。
お知らせを頂いた時には単に「経営のできる看護師の育成事業」だと思っていましたがフォーラムに参加して、そうではなく日本財団在宅看護センターのトップの育成の事業だとわかりました。つまり、人材育成だけでなく在宅看護センターの全国ネットワークの事業だったのだとはっきりとわかりました。
笹川会長が、そして喜多理事長が、辻先生が日本の将来のために訪問看護を増やしましょうと号令をかけるだけでなく、実際につくってしまおうと考えていることがわかり1歩も2歩も進んだ考えだとわかりました。
ぜひ、優秀で使命感をもった看護師の皆さんに日本の未来を支える訪問看護のネットワーク作りに参加していただきたいと思います。私にできる事は、多くの市民や介護者の皆さんに訪問看護の力をしらせることだと思っています。どんなに素晴らしい力も、周りが知らなければ使えません。訪問看護にできること、優秀な訪問看護師さんがどれほど家族の支えになるかを多くの方に知っていただく活動を続けたいと思います。
感動のあまりあれこれ書いてしまいました。今後もちょっと違う方向から皆様の活動の応援ができればと思っています。
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