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2017年7月31日 (月)

コラム「医師として、武士として」 Vol.84 ねこの挨拶     安藤 武士 Andou takeshi

Vol.84 2017.5.5 ねこの挨拶

毎週、日曜日、夕飯を楽しみながらTVの“さざえさん”を見ている。1969年10月5日から続いているとのことで、日本一の長寿番組であろう。

いつ放映されたかわからないが、磯野家の庭に毎日遊びに来る野良ネコが、姿勢正しく両前脚をそろえ、きちっとした佇で、サザエさんに、“にゃーん”と一声なきしどこかに去った。それ以後、野良は姿を見せなくなった。数日後、さざえさんが、“どこにいったのかしら、”お別かれの挨拶“にきたのかしら”というという場面があった。

小生宅のことである。現在の住まいに居を構え四半世紀になる。小生宅前の6m幅の道に、10数匹の野良ネコがうろうろしていた。“野良ネコ通り”とも言われていた。

家人が世話をし始めた。朝夕、餌をやり、野良が餌を食べていう間、40メートルほどの間のトイレの始末、ご近所さんの玄関先を掃除するのが日課になった。数年も続くと、当初、冷やかだったご近所さんの家人に対する視線も変わった。ご近所さんと、挨拶だけでなく立話をするようになった。

野良は大抵、母親とその子と思われる一組で餌を食べに来る。当初は、スーパーで買ったお刺身のトレイなどを利用していたが、風で飛ばされるので瀬戸物になった。許されるかどうかは別にして、家人に手なずいたところで避妊手術を受けさせていた。自治体から補助が出るが、かなりの負担になったらしい。すべての野良に名をつけていた。マメ、クロ、ゾウキン、ゴン、タナ、チビ・・・、などである。ネコ仲間のご近所さんと、「クロが弱ってきた、食事もしないのでもうすぐお迎えが来るのではないか」など立ち話をすることが多くなった。数年前からは、玄関先に“ノラハウス”を置き弱ったノラを住まわせた。

2年前、クロがなくなりチビだけになった。冬になるとホカロンを1、2枚入れ、食事もルームサービスするようになった。エサは缶詰であったり、カリカリ(固形食品)であったり、贅沢させていた。チビは日中は、日向ぼっこ、夕は、エサを食べ終わると“ハウス”にもぐり込んだ。チビは冷たい水はのまず白湯だけを飲んだ。家人は、時間が来ると水差しとお湯の入ったポット、缶詰め、カリカリの食事セットを持って世話をした。

今年の冬、チビは“ハウス“から出てくる回数も減り、食欲もなくなりそろそろお迎えが来るような状態になった。好天の時は、お向いさんの駐車場で日中を過ごし夕刻になる”ハウス“に戻る生活になった。白湯以外、なにも口にしない状態が3週間ほど続いた。“ハウス”でお漏らしをするようになった。紙おむつを敷き快適な環境にした。

ある雨の降る早朝、玄関先で通行人の声がした。家人が出てみると、通行人の傘の下に、精一杯の力で姿勢をただし痩せこけた雨に濡れたチビがいた。家人は、すぐに食事セットを取りに行こうとしたら、チビは、“ニャー”と一鳴きし“ハウス”に戻った。通行人に礼を言った。日中、“ハウス”を覗くと息をしているチビがうずくまっていた。翌朝、チビは息を引き取った。

 小生も、“ハウス”を覗き死亡を確認した。玄関先の花を摘んでハウスに入れた。地元の保健所に連絡し遺体を引きとってもらった。ご近所さんも、亡骸の入った段ボールに花を入れ冥福を祈ってお別れをした。

 家人は、一日も欠かさず、朝夕、野良の世話を四半世紀続けた。その間、泊りがけ旅行は一度も出来なかった。小生との泊りがけの旅行は、無論、無かった。

家人は、一日、数時間の野良の世話がなくなったので、ホットしている。「でも、寂しいは。」と言っている。玄関先に、チビの写真付きの「訃報」の知らせと、お世話になった礼を記したチラシが掲示されている。享年18歳であった(ヒトでは88歳)。 

 間もなく、小生の場合も世話がなくなってホットすることであろう。「でも、寂しいは。」という言葉が出てくるかどうかは、小生は確認できない。(完)

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日経メディカル・メッセンジャーナースによるリレーコラム:現在、「自分の家で、この子を抱きしめて川の字で寝たい」(渡邉八重子・愛媛) オンエア中  明日の9月1日、「往診医に連絡とれず、このままでは検死に」(仲野佳代子・東京)、オンエア予定!・・・と続きます

全国のメッセンジャーナースによるリレーコラムは、昨年6月から月1回、時に2回のペースでバトンが渡されています。

今度はどこから? どなたが? あなたですか? どんな発信が?

6月: ②「親父は胃瘻を望んではいない」と思う  「胃瘻がある方が介護しやすいですよ」と医師(郷堀 妙子・広島)  詳細は ☞ こちら または、こちらから

 

6月:①医師の申し出を断りたいが断れない   「終末期を気ままに暮らしたい」と願う患者・家族への関わり(石川ひろみ・北海道) 

7月:過剰な薬の投与で自分らしさを失っていた患者(村中知栄子・熊本)  

8月:癌の母を自宅で看取った娘の後悔 

 私の一存で「もうここまで」と決めたけど…(前田真由美・長崎)

★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★・・・現在、連載中 

5月:本当の話を聞いた患者の怒りはどこへ   自分には胃は全部ないというじゃないか(村中知

栄子・熊本) 

4月:医師の高圧的な態度が怖くて(小田直美・新潟) 

3月:母の手は石のように固くひび割れ、血が滲んで (渡邉八重子・愛媛) 

2月:在宅で最期と願う患者、無理だという往診医(村松静子・東京) 

1月:①治療しない、でも「息苦しい。何とかして」 (倉戸みどり・神奈川) 

②「死にそうな時は何もしなくていい」と言われてたのに(松本理恵子・新潟)

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経験を語り合って、大いに学び合いましょう。 

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2017年7月30日 (日)

中下大樹さんの早稲田大学中野校舎・社会人講座「「人生の最期」を考える」の一般申し込みがスタートしました↓2017年8/2、8/23、9/6、(水曜日)19:00-20:30の3回です。

この講座は、毎年15人前後の受講生の方々に限定していただいております。教室も「コ」の字に席替えして頂き、お互いの顔を見れる感じにして、「ゼミ」形式で語り合うことを目的にしています。

普段なかなか語り合うことのできない「死」というテーマを、医療や看護の視点のみならず、葬儀やお墓、被災地の現状なども踏まえつつ、出来るだけ皆さんが、ご自身や家族の「死」について、気楽に語り合うことが出来たらいいなという思いでやっております。(中下)

https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/39559/

 

私も、中下さんはじめ出席される皆さんのお話を耳にしたい・・是非、行かせていただきます(村松)

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父「永六輔」を看取る(宝島社)   長女・千絵さんの本音が綴られた1冊、「千絵ちゃ~ん」永さんの声が聴こえてくるようです。

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2017年7月 5日 (水)

「ビデオのメッセンジャーになりたい」暮らしの映像社の鈴木浩社長の心が嬉しくて・・メッセンジャーナースたちの素敵な姿がDVDに。その裏話が少しずつ明らかに その⑤

超高齢社会、そして医療制度の変化も進んでいく中で、私たちの一人ひとりがいのちと医療について自分なりの考えや選択基準を持たなくてはならないのではないでしょうか。どうしていいかわからないことや不安もある筈です。そんな時に患者や家族と医療者の懸け橋となってくれるメッセンジャーナース。これからますますその存在が必要とされると思います。

 

「メッセンジャーナースって知っていますか?」何人かの看護師さんに聞いてみました。まだまだ知らない方が多いようです。村松さんの依頼を受けて作ったメッセンジャーナースのDVDがメッセンジャーナースを知っていただくために役立つことを願っています。

村松さんとの出会いを振り返りながら昔の日記をたどってみました。「私のやりたいことはビデオによるメッセンジャー」と書かれている個所を見つけました。まだメッセンジャーナースの言葉も知らない頃の日記です。

 

私が映像製作の仕事でやりたいのは、その人がいることでこの世の中も捨てたものではないと思える、そんな人の存在を映像で伝えること。その思いを綴ったのです。メッセンジャーナースの皆さんの活動やその思いを映像を通してまだ知らない人に伝える。ビデオのメッセンジャーの役割かも知れません。「いつかお役に立てれば…」の願いがこんな形で実現したことが不思議です。

 

今、私は  メッセンジャーナースを広めるためビデオのメッセンジャーになりたいと思っています。(終)

暮らしの映像社って? ☞ こちら

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2017年7月 4日 (火)

「ビデオのメッセンジャーになりたい」暮らしの映像社の鈴木浩社長の心が嬉しくて・・メッセンジャーナースたちの素敵な姿がDVDに。その裏話が少しずつ明らかに その④

30周年記念の集いから半年後、メッセンジャーナースのDVD制作のお声をかけていただくことになったのです。何かお役に立てることがあれば…の願いが、このような形で実現したのです。

メッセンジャーナースを知るために、メッセンジャーナースの研鑽セミナーや認定式の様子を撮影し、村松さんやスタッフの方々の話しを聞かせていただくことにしました。今なぜメッセンジャーナースなのかが少しづつ見えて来ました。栃木、山口、兵庫、そして大阪と各地で活動するメッセンジャーナースの方々の姿も撮影させていただきました。それぞれ立場も違い、やっていることも異なりますが、皆さんに共通していたのは、看護師としてやらなくてはならないと信じたことを淡々と行うその行動力と生き生きとした表情でした。

「ひとの世のしあわせは 人と人とが 逢うことからはじまる」という言葉が大好きな私にとって、今回のメッセンジャーナース訪問の旅は文字通りの素晴らしい出会いの旅になりました。

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2017年7月 3日 (月)

「ビデオのメッセンジャーになりたい」暮らしの映像社の鈴木浩社長の心が嬉しくて・・メッセンジャーナースたちの素敵な姿がDVDに。その裏話が少しずつ明らかに その③

昨年5月、在宅看護研究センター30周年記念の集いに私は村松さんの笑顔を見たくて参加しました。「いつでも、どこでも、どんな重症でも、家にいたいという人を看れるようでなければ、看護師としては私は自分を許せない」という村松さんが在宅看護の道を切り拓いて三十年が経っていました。村松さんへの感謝の気持ちから、当日の様子をビデオ記録してプレゼントすることを思いつきました。

「暮らしに伴走するメッセンジャーナースとは?」というシンポジウムの一部始終を撮影しました。登壇した5人の「メッセンジャーナース」と言われる看護師さんたちの語る内容に圧倒されました。「今の医療は患者よりも病院の都合を優先させているのではないだろうか…」と医療の在り方に不満を抱いている私にとって新鮮な発見がいくつもあったのです。ここに登場したメッセンジャーナースの方たちは、医療が抱える現実的な課題と向き合いながら、不満を語るのではなく培ってきた“看護の心とわざ”を活かして医療の受け手である患者や家族と医療者との間の懸け橋になろうとしていました。

あるメッセンジャーナースの方は、医師が「もう守れない」と言ったある患者さんを、それでも看たいと思い、看護師として起業する道を選んだそうです。

看護師がなぜ起業するのか。それが自然に納得できました。出会った患者さんを医療的にはもうすることがないといって見離すことをよしとしない看護師の存在も知りました。

医師に打つ手がなくなっても看護師だからできることがある筈。たとえリスクがあってもそれをやる行動力、そしてそこまで患者さんを大切にする思いに心打たれました。

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2017年7月 2日 (日)

「ビデオのメッセンジャーになりたい」暮らしの映像社の鈴木浩社長の心が嬉しくて・・メッセンジャーナースたちの素敵な姿がDVDに。その裏話が少しずつ明らかに  その②

その後、思いがけない出来事で私はまた村松さんの心意気と行動力に感動することになりました。

ディレクターの大先輩であるKさんのお姉さんが重い病気にかかったのです。「納得のできる看とりをしたい。でもどうやって?」Kさんの気持ちが痛い位に伝わってきました。番組のゲストとして出会っただけの村松さんに助けを求めることに躊躇しながらも相談の電話をかけたのです。村松さんの言う「“看護の心とわざ”をいつでも、望む人すべてに!」というスローガンは本物でした。

村松さんは自らKさんのお姉さんを訪問して力になってくださったのです。おかげで、Kさんはお姉さんを納得のいく時間の中で見送ることができました。Kさんも私もそのことに今も感謝しています。

いつか映像を作ることで何かお役に立てることがあれば…そんな願いを抱きながら十年が過ぎました。・・・(続く)

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2017年7月 1日 (土)

在宅看護研究センター30年間の実証研究から生まれたDVD「わたしはメッセンジャーナース」、ついに誕生、発売開始! あなたも、あなたも、あなたも

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看護師として長年培ってきた看護の“心とわざ”を融合させて、医療の受け手の心を運ぶメッセンジャーナースが誕生したのは、2010年10月のこと。「メッセンジャーナースってどんなことをするの? 普通の看護師とどこが違うの? どうすればなれるの?その答えはこのDVDで!

①コンパクト版800円(税・送料別途) ②学習版とセットで2500円(税込)送料別  セット販売元は、暮らしの映像社

「メッセンジャーナース 看護の本質に迫る」(看護の科学社) 在宅看護研究センターLLP/看護コンサルタント社で購入の場合は、コンパクト版を無料でお付けします。

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お問い合わせとお申込みは、暮らしの映像社:TEL090-7174-7402 またはE-mail:suzuki@kurashinoeizo.com へ
メッセンジャーナース認定協会:TEL03-5386-2427 またはE-mail:messenger.ns@e-nurse.ne.jp へ

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「ビデオのメッセンジャーになりたい」暮らしの映像社の鈴木浩社長の心が嬉しくて・・メッセンジャーナースたちの素敵な姿がDVDに。その裏話が少しずつ明らかに その①

「メッセンジャーナースに関心をもってもらうためのDVDを作りたいのです」

村松静子さんからこう言われたのは、昨年11月。その時、長年の抱き続けた願いというものは、いつかはきっと叶えられるのだと思って嬉しくなりました。

村松さんとはじめてお会いしたのは2003年、私がディレクターを担当していた「心のともしび」というテレビの対談番組にゲストとして出演していただいた時でした。

村松さんは開業ナースとしての御自身の活動とその思いを語ってくださいました。日本赤十字病院のICU看護師長だった村松さんは、ある患者さんの家族からの「助けてください」の痛切な叫びに応え、日赤に籍を置きながら在宅看護ボランティアを始めたそうです。

患者さん家族の「助けてください」を放っておけなかった村松さんの看護師としての心意気と行動力に感動しました。村松さんは患者さんの「困った」を放っておくことができない人。これが番組を通しての村松さんの印象でした。

クリスマスの晩だけは家族と一緒に過ごそうと決めていた村松さんが、患者さんの家族からの呼び出しで出かけて行ったという話、それを笑顔で語る村松さん。番組収録を終えてからも忘れることができませんでした。困っている人を放っておかない。本当の看護ってそういうものかも知れないと思いました。その後・・・(続く)    

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