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2020年9月12日 (土)

新コラム【私のメディア・リテラシー】第7回 死への準備教育で聖ザビエルを超えたアルフォンス・デーケンさん    尾崎 雄 Ozaki Takeshi(「老・病・死を考える会プラス」世話人 、元日本経済新聞編集委員)

第7回 フランシコ・ザビエルを超えた? アルフォンス・デーケンさん  2020-9-12

「デーケンさん」。その講演を一度でも聞いたことのある人ならだれでも親しみを込めてそう呼んでいた、アルフォンス・デーケン師が、9月6日になくなった。88歳。カトリックの司祭であり上智大学教授として「死の哲学」を講じた哲学者だったが、むしろ、人びとが死をタブー化しないように導く、デス・エデュケーション(死への準備教育)を日本に広めた功労者として知られていた。
「死への準備をすることは、よりよく生きること」。そんな死生観にもとづく市民グループ「生と死を考える会」をつくり、各地に同じ趣旨の会が広がった。画期的だったのは医師たちへの影響だ。医師の多くがホスピス・緩和ケアを「敗北の医療」と無視する時代に人間中心の医療を目指す一部の医師や看護師らに共感の輪を広げた。我が国に緩和ケア病棟の制度化の基礎を作った柏木哲夫医師(淀川キリスト教病院名誉ホスピス長)は、デーケン先生から二つのことを教えられたという。「人は必ず死ぬということを認識することの大切さ、と(死の)準備をする必要性だ」(9月11日・東京新聞)。国が普及に躍起のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)も「死への準備教育」の流れを汲む。上智大グリーフケア研究所の島薗進所長によると「死生学は病院、介護施設などで、医学や心理学と絡めて考えられていた」が、それを一般市民むけに「死に向き合うことは自分を見詰めること」だと訴え、「広く生と死について考える流れをつくり、死生学の裾野を広げた」(同)。

デーケンさんはイエズス会の神父。イエズス会創始者のひとり、フランシスコ・ザビエルは日本にキリスト教伝道の道を開いた。彼は3年間日本で過ごし、彼は志半ばで日本を去ったが、デーケンさんは60年にわたって日本で活動し、ザビエルとは違った形で大きな足跡を残した。その魂の足取りは絵本『人生の選択――デーケン少年のナチへの抵抗』(藤原書店)で簡潔に語られている。ライフワークは「人びとに、生きることは何か、死とは何かを伝えること」だった。多感な少年のときナチスドイツ時代を体験した。4歳の妹が白血病でなくなった死別体験と不条理な戦争体験が彼の人生を決めた。隣人一家が連合軍の焼夷弾攻撃の犠牲になり、自らも機銃掃射から間一髪で命拾いした。ナチのエリート学校入学を推薦されたが拒んで、司祭の道を志し、長崎26聖人殉教者の一人、ルドビゴ茨木の生涯を知る。ザビエルが鹿児島についたのは1549年8月15日。それから410年後の1959年2月7日、デーケン青年は神学生として、横浜に上陸した。上智大の教員になってから世界のホスピスを医師や一般市民らと見て回り、「日本の津々浦々まで」講演した。2001年にはアメリカのホスピス視察の途上、3000人が一瞬にして死ぬという「9.11.同時多発テロ」に遭遇する。ドイツで味わった不条理の死をアメリカで再び体験したのである。それから19年たった2020年9月11日、東京の聖イグナチオ教会で執り行われた自らの葬儀で、宣教師デーケン神父のもう一つの顔が披露された。

日本に派遣された2年後、アメリカのフォーダム大学で哲学博士の学位を取るが、このアメリカ留学中に日本の将来を分析する。人口統計学的に日本の超高齢化を予測。高齢社会が迫っているにも関わらず、日本人は経済成長がもたらす消費経済に酔いしれ「生と死」の問題が社会の片隅に追いやられている、と睨んだ。デーケン青年は、そうした日本社会の混迷にターゲットをしぼった戦略を練り、日本に帰国する。最大限に活用したのはマスメディアである。服装は背広とネクタイ姿で通し、自己紹介は「私はデーケン。何にもデーケンです。晴れてもアーメン。雨でもハレルヤ」と笑いを取ってから自らの体験をもとに「生と死」について分かりやすく語りかけた。デーケンさんと同じドイツ出身のイエズス会士は、メディアをはじめ社会状況が変わったため、「もう、第二のデーケンは日本には現れない」と語ったものである。

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