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【私のメディア・リテラシー】第12回 腰砕けの「女性活躍」。クオータ制で突破口を 尾﨑 雄 Ozaki Takeshi(「老・病・死を考える会プラス」世話人 、元日経ウーマン編集長

10月14日、衆議院は解散され、31日には総選挙の投票が実施される。その前哨戦だった自民党総裁選の立候補者は男性2人vs女性候補2人。男女均等の戦いだった。争点の一つに選択的夫婦別姓の是非もあって女性活躍時代の曙光も見えたようだった。ただ、岸田内閣の女性閣僚は3人に落ち着き、女性登用が進んだ印象は薄かった。さらに岸田文雄氏が行った施政方針演説には注目すべきジェンダーギャップ解消の決意や文言が見当たらなかったことは残念である。

衆議院解散の前日に当たる10月13日、日本経済新聞は1面の連載コラム「新政権に問う⑥」で「女性活躍をやり直そう」と書いた。岸田総理は安倍・菅政権が繰り返してきた「女性が輝く社会」というキャッチフレーズを引っ込めたと指摘。「リーダーとしての自覚を疑う」と断じた。

新型コロナ禍は働く女性の暮らしを直撃し、子供の数を減らす。2021年の合計特殊出生率は前年を0.05㌽押し下げて1.29となり、出生数は前年より4万人少ない80万人前後に落ち込むという(第一生命経済研究所)。女性が働きながら子育てを無理なくできることを測る有力な指標が子供の数だとすれば、安部政権以来の「女性活躍推進」は「看板倒れだったことが新型コロナ禍で露呈した」のだ。これをなんとかするための戦略を岸田政権は提示し、実行すべきなのである。ところが、世界最低レベルのジェンダーギャップを埋め、民間企業にも根強く残る「ガラスの天井」を破るためのめぼしい手立ては岸田政権の選挙公約には見当たらない。

解散前日の新聞でジェンダー問題を大きくアピールしたのは東京新聞である。1面トップで、自民党は選択的夫婦別姓を衆院選の公約に明記しなかったが、立憲民主党は「早期実現」と報じた。いっぽう、毎日新聞は選択的夫婦別姓制度を「今すぐ導入」するという共産党の公約(要約)を紹介した。確かに選択的夫婦別姓制はジェンダ-ギャップの根底にある本質的な問題である。とは言いながら、理念的で難しく国民一般には分かりにくい。

むしろ、低賃金やジェンダーギャップや「ガラスの天井」など女性たちの目の目の前にたちはだかってきた障壁を取り払うことの方が一般には分かりやすい。その一つはクオータ制の実施である。クオータ制とは「国民構成を反映した政治が行われるよう国会・地方議会議員の候補者など政治家や、国・地方自治体の審議会、公的機関の議員・委員の人数を制度的に割り当てること」(Wikipedia)。簡単に言えば、仕事の実績や能力の有無にこだわるよりも組織や団体における女性の数を割り当てる仕組みだ。世界196か国中118か国が導入しているが、日本にはない。

岸田総理は「新しい資本主義」によって日本再生を目指すと語る。それは、民間企業の活力を生かす市場経済を土台に、経済学が指摘してきた「市場の失敗」を大胆に修正する考え方だと解釈される(10月13日付け「大機小機」)。「市場の失敗」は資源の適正配分が為されていないために生じるのだとすれば、ジェンダーギャップや「ガラスの天井」の存在などは女性という社会資源(人材)の適正配分を怠ることにほかならない。

総理は看護師、介護職、保育士の所得を増やすと言う。だが、厚生労働官僚として介護保険制度や社会保障・税一体改革に携わった香取照幸上智大教授は次のように指摘する。「医療・福祉分野は8人に1人が働く巨大労働市場で、今後も人材が必要になる。賃金を上げるだけではなく、人材が定着し、キャリアを積めるビジネスモデルの構築が求められる」(10月13日付け読売「視座 21衆院選」)と。

民間企業出身で今年6月、女性として初めて人事院総裁になった川本裕子氏にクオータ制導入について意見を求めると、ジェンダーギャップの現状を憂える表情を滲ませながら、こう漏らした。「ここまで世の中が変わらないと、(それも)ありかな」と(9月24日、日本記者クラブでの会見)。クオータ制は違憲だと反対する声もあるが、フランスなどは憲法改正によってクリアしてきた。我が国もこの問題を本気で議論すべき時期ではないだろうか。

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