【原山建郎の連載コラム】「つたえること・つたわるもの」№167 ビッグモーター問題、日大アメフト部事件 ――空気の支配に「水」を差す。
8月22日(火)にアップした連載コラム「つたえること・つたわるもの」№167をお届けします。ビッグモーター問題、日大アメフト部事件――空気の支配に「水」を差す。 | ゴム報知新聞NEXT | ゴム業界の専門紙 (gomuhouchi.com)
先週15日は78回目の「終戦の日」でしたが、自らも比島(フィリピン諸島)での戦闘・敗戦・捕虜収容所・最後の復員船で帰国という辛酸をなめた山本七平さんの高著『空気の研究』を引用しながら、今回のコラムでは、いま世間を騒がしている「ビッグモーターの保険金不正請求問題」と「日大アメフト部の違法薬物事件」を、「絶対的空気の支配(集団への反論を許さぬ同調圧力)」という視点でとらえてみました。
そして、このような集団による「空気の支配」を解くカギは、その場の空気に「水を差す」ひと言にある、あるいは、私たちは今でも「水を差す自由」を確保しておかないと大変なことになると、山本さんは指摘しています。
ビッグモーターの新社長、和泉伸二さんは、1992年入社(23歳)、2006年専務取締役、2023年代表取締役社長就任(54歳)ですが、1976年に同社前身の兼重オートセンターを25歳で創業した前社長の兼重宏行さん、2011~2012年まで日本興和損保に在籍→2012年ビッグモーター入社(24歳)、2015年取締役(27歳)、2012年代表取締役副社長を辞任(35歳)した前副社長の重兼宏一さんら経営トップによる常習的な不正と隠蔽という「空気の支配」の中で、経営陣のひとりであった和泉さんは、その「空気の支配」に一度でも「水を差し」たことはあったのでしょうか?
また、昨夏、かつて「日大のドン」と呼ばれた田中英壽前理事長に代わって、「母校の改革」を掲げて新理事長に就任した林真理子さんは、元検事で競技スポーツ担当である沢田康広副学長の隠蔽工作ともとれる数々の行いに対して「水を差す」ことはあったのでしょうか? その実態は「お飾りの理事長」でしかなかったのでしょうか?
今回のコラムを書いた私の思いは、ことし7月に就任した和泉伸二新社長、昨年7月に就任したばかりの林真理子新理事長、お二人を非難することではありません。
どんな集団にもある「空気の支配」、それはたとえば「社風」であったり、「校風」であったりするのですが、功罪両面を併せもつ「社風」や「校風」をどのように考えればよいのでしょうか? 昨日(23日)夏の甲子園・高校野球大会で、107年ぶりに優勝を飾った慶應義塾高校の自由な「校風」が話題となっています。
詳細は☞ ダウンロード - 167.pdf
次回のコラムは、『空気の教育』(外山滋比古著、福武書店、1983年→ちくま文庫、2011年)を参考にしながら、「社風」や「校風」について考えてみたいと思います。
お時間のあるときにお読みください。
☆原山建郎☆
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