介護:役割分担
医師として、武士として 安藤 武士 Andou takeshi
1941年、新潟県生まれ。1967年、新潟大学医学部卒業後、医師登録と同時に外科研修を開始。72年、呼吸器・心臓血管外科を専攻後、80年よ り、心臓血管外科部長として日本赤十字社医療センターに勤務。2001年より職域診療所所長として活躍中。労働衛生コンサルタント・スポーツドクター(日 体協)・健康スポーツドクター(日医)・認定産業医(日医)の資格を持ち、これらの5つの顔を絶妙な味で使いわける医学博士である。身体の大きさと、豪快 な笑い・笑顔には、その人柄と存在感をより強くアピールする何ものかが潜んでいる。やはり'武士'にして"武士"ここにあり。 >>>バックナンバー
vol.33 介護:役割分担 2008-4-13
介護は「医師や看護師以外の者が病人の介抱や看護をすること」と辞書に出ている。人は、素朴な心さえあれば誰もが人を介抱するはずであると、敬愛する故・司馬遼太郎氏が文章に残している。たいていの人は人の不幸をみたとき、「可哀そうじゃないか」という思いが自然におこるという。この衝動を“惻隠の情”と表現している。
過年(平成9年)、「法」により人を介護する制度がわが国に導入された。介護保険法である。介護を他人に任せる制度である。介護のプロも誕生した。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーなどなど。しかし、今なお、介護の苦労話を耳にする。
近着の産経新聞(2008年4月4日)に、ノンフィクション作家の久田 恵女史が「男女間の暗くて深い川」と題するコラムを寄せている。無断掲載、お許しをいただく。
ある大手企業の依頼で、「高齢者の介護」について話をするという稀有な体験をしてしまった。
なんと聞き手は男性のみ。しかもおおむね40代、50代の働き盛り。全員、仕立ての良紺系統のスーツに、豪華な会議室にずらりと並んでいる姿に目をみはった。(略)
雑然として、ごちゃごちゃとして色とりどりの混沌の日常を生きているものとしては、別世界に紛れ込んだ「不思議の国のアリス」みたい・・・。(略) ともあれ、これまでの自分の人生で踏み入れたことのない場所。(略) もっとも専業主婦率の高かった団塊の世界のおおかたの女性たちも、無縁だった場所である。ここで、「介護」の話とは、なんたる場違いか。(略) これでもかというほど事細かに「介護を抱えた家族の日常」についてくどくどと話をしたのだった。
話を終えてご質問は?となって、どんなふうに聞いていただけたのかと周囲を見回したら、どことなく困惑した空気が・・・。いつまでもシンとしている。と、勇気ある男性が声をあげた。
「自分の人生を犠牲にしてまで、親の介護ってしなければならないものですかねえ」
ええっ! だったら誰がするの? 意表をつかれて、頭の中がまっ白。むろん、最終的には、病院とか介護施設とかで、ということもありますが、そうなるまでの日々、そうするまでのあれこれ、そこにいたるまでの心の葛藤、なんというか、もうてんこ盛りのごとごたの四面楚歌。目下この国の高齢者介護の現実ってそういう事態よ。「自分の人生」って言ってもねえ。家事、育児、介護のあれこれ。誰かのオムツを替える、そうゆうことも含めて、降ってくるものすべてを受け入れて生きるしかないのが「自分の人生」ってことではではないかしら?質問をした彼は家に戻って妻にきちっと言えるだろうか。「キミ、自分の人生を犠牲にしてまで、親の介護をする必要はないんだよ」と。
やっぱりね。男と女の間には、暗くて深い川がある、そう思った体験だった。
ライオンの話である。 東アフリカのサバンナに生息するライオンは、群れをなして暮らしている。群れは、1頭のオスと数頭のメス、そしてかれらの子供達。家族で暮らしている。狩はメスの役目。ヌーなど大物はメス全員であたる。仕留めた獲物はまずオスがたべ、ついで子供たち。最後に獲物を仕留めたメス。
オスは、いつも群れから離れ悠然としている。5感を研ぎ澄まし、外敵から体を張って家族を守る。”なんで俺だけ危いめに遭わなければならいの?”とボヤかない。メスは、”ずるい、自分で獲れば”と、オスを非難しない。そうしている内に子供たちは巣立っていく。大掴みに言えば、これがサバンナのライオンの一生である。数千年は続いていはずである。これからも続くであろう。NHKのTVで知った。
このコラムは、久田 恵女史の「男女の間の暗く深い川」の話を揶揄しているのではない。介護は”男がやるものではない”と言っているのでもない。人にも、男は”これ”、女は”あれ”と生物学的特性による役割分担があること言いたかったのである。男女の役割は必ずあるのである。小生の揺ぎなのい持論である。しかし、このコラムを家人が見ないことを祈っている。小生の明日を穏やかに過すために。
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