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コラム「医師として、武士として」          安藤 武士 Andou takeshi

1941年、新潟県生まれ。1967年、新潟大学医学部卒業後、医師登録と同時に外科研修を開始。72年、呼吸器・心臓血管外科を専攻後、80年より、心臓血管外科部長として日本赤十字社医療センターに勤務。2001年より職域診療所所長、2010年より佐野市民病院健康管理センター所長として活躍中。労働衛生コンサルタント・スポーツドクター(日体協)・健康スポーツドクター(日医)・認定産業医(日医)の資格を持ち、これらの5つの顔を絶妙な味で使いわける医学博士である。身体の大きさと、豪快な笑い・笑顔には、その人柄と存在感をより強くアピールする何ものかが潜んでいる。やはり'武士'にして"武士"ここにあり。

Vol.39 これからの健康管理  2010.11.20

もう一つ重要なことがあります。

身体機能・運動機能の低下を防ぐことが必要です。体を動かすことです。歩くことです。その際、重要なことは姿勢です。背筋を伸ばし顎を引き、可能な限り大股で足のキックをきかせ、手を大きく振って歩くことです。また、少なくとも建物の3階まではエレベーターやエスカレーターを使わないことです。この生活を続ければ確実に身体・運動機能は向上します。転倒による骨折が契機で、「寝たきり」状態や「車椅子生活」を余儀なくされることを防ぎます。若々しく活動できます。以上の3点が「これからの健康管理」です。

 プレ70歳が最も「気」にしているのは、「ぼけ」ではないかと思いますので、「ぼけ」の入り口の話をします。「ヒトはどうして死ぬのか 一 死の遺伝子の謎」という田沼靖一氏の著書(2010年7月30日、幻冬舎新書)から得た知識です。無断、借用ですがお許しが得られるものと思っております。

人体は60兆個の細胞からなっていると言われております。細胞の分類には色々な分類法がありますが、「再生系細胞」と「非再生系細胞」という2種類に分類する方法があります。

 「再生系」の細胞は一定の期間が来ますと細胞が自殺し新しい細胞と入れ替わる仕組みになっております。再生系細胞の自殺を「アポトーシス」と言いますが、皮膚は28日周期で新らしい細胞と、胃の内側の細胞は数日、小腸の内側の細胞は3から5ヶ月、肝臓は一年で、それぞれの細胞が少しずつ自殺消滅し新しい元気な細胞と入れ替わります。一日に、200gmのステーキ1枚分の細胞が自殺し新しい細胞と入れ替わると言われております。分裂の回数は決められており、その分裂回数が寿命(とし)を決めていると考えられております。ヒトは120歳と決められております。

もう一方の「非再生系細胞」に属する細胞は「心臓」と「脳」の細胞です。「ぼけ」に関する話ですので、「脳」について申しますと、「脳細胞」は再生しない細胞です。脳細胞は、毎日、10万個程度が自殺(アビオトーシス)しているといわれております。脳全体の細胞は約1000億個ありますが、100歳では4%の脳細胞は死滅します。脳が病気に罹らなくても脳は必ず萎縮します。新しい脳といわれている大脳皮質は約150億の細胞しかありませんが、100歳で約25%の細胞が死滅すると言われております。良く耳にするアルツハイマー病は、記憶の神経細胞の死が促進される病気ですが、65歳で5~8%、75歳で15~20%、85歳以上では25~50%の人が発症するといわれております。即ち、脳は年齢とともに萎縮します。脳が病気に罹りますと一層、脳の萎縮は進みます。当然、脳の働きは、若い頃と異なる状態になります。つまり萎縮した脳で考えますので、萎縮した脳では、自身の考えが若物と違うことに気がつきません。「今の若いものは、・・」、一方、若者は「あのく爺、・・・」ということになります。これも、また遺伝子に組み込まれており、どうしようもないことなので全人が避けられないことです。

 以上が「プレ70歳の集まり」で「これからの健康管理」について述べたことですが、小生も「プレ70歳の集まり」の仲間であることを付け加えます。

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