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事故に遭わなければ一時代を築いたに違いない今は亡き、オートレーサー須之内哲也の連載コラム  

vol1⇒  http://www.e-nurse.ne.jp/column/sunouchi1.html

vol.33. 2011-1-12

ホテルに着くと私の兄が初美の車椅子を押してくれ今までの恩返しのように初美の車椅子をおしながら話しかけてホテルの商店街まで見せてやったりして私も初美の後からついて行き夫婦二人が車椅子に乗ってみんなに支えられてこうしていることが嬉しくて、初美も私も車椅子でもいいこのままでもいいからいつまでも生きていてほしいと心の中で祈っていた。どんな姿でもいい初美がそばにいてさえくれればいいと思っていた。

ホテルの部屋に入って子供達が来るのを待っている時も皆がいてくれるので、初美は元気なようにふるまって写真を撮ったりいろんな話をして明るくしていた。子供達が来るとまた記念写真のように皆なで写真を取りそれから初美の好きな中華料理に行って、初美の最後の晩餐のような気持ちになって初美も最後までみんなに気を使い自分で料理の注文をしたり家ではもうそんなに食べられないのにいつもの3倍も皆と一緒に食べられて大丈夫かと私も聞くぐらい食べられてすごく嬉しそうな顔で喜んでいた。こんなに皆で食事を楽しく食べられて初美は心の中でみんなに今までありがとうと言っているような顔をしているのが私にはわかった。会計も自分で払うつもりだったが子供達2人が今夜はいいよと自分達で会計も済ませて少しでも初美を喜ばせようと思っていたようだ。ホテルの部屋に戻り、親兄弟は少しいて帰る時間なので駅に向かったが品川駅のホームからホテルの部屋も初美や私達が見えて携帯で電話してきて手を振って帰って行った。子供達もしばらくいていろんな昔話やこれからのことを話したり、家族4人でホテルで過ごす時間は何十年ぶりだったか子供が小学校のころは家族4人での旅行はしてたけど大きくなっていかなくなり、久しぶりの時間をもてて初美も嬉しかったと子供が帰ってから言っていた。

子供達も帰って初美がシャワーを浴びて、今夜は疲れただろうから早くベッドに入ったほうがいいと横にさせて少し話をしていたのだけど、いつの間にか私は寝てしまいトイレのドアの音で目を覚ますと初美がトイレに行って出てきた所で起こしてくれればよかったのにと言ったけど哲ちゃんがよく寝てたから起こさなかったと。それから又二人で東京の夜景を見ながら話をしてずっとこのままでいたいなと話したり今夜は楽しかったと言っていた。

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