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事故に遭わなければ一時代を築いたに違いない今は亡き、オートレーサー須之内哲也の連載コラム  

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vol.39. 2012-7-1

自分で出来る事はしたいので教えてほしい。初美が死ぬ時は私が取り乱さない為にも最後はどんなふうになって初美が死ぬのかおしえておいてほしい。その時に自分自身がしっかりする為にもしっておきたかった。私のこだわりがあって、初美の最後は今まで生活してきた初美の部屋に戻して畳の上にふとんを敷いて寝かせて見取ってあげたいと、私のわがままだけどその時がきたら教えてほしいと頼んでみたら英先生は「わがままでもなんでもない。その時はおしえるから」と言ってくれた。いよいよ初美の最後を自分の心の中で準備していた。

々と遣り残すことなくすべてしてあげたい。ママが死んだ時俺はどうなるかわからないし、お前達がそれぞれその時はまず頼れる人に電話をかける事が一番。電話は長男にすべて任せ、次男は神様の部屋中に貼ってある厄除けの紙をはがしてママの身体を拭く。タオルやお湯を用意したりとそれぞれが又新たな役割を決めた。子供達も覚悟は出来ていたので三人でしっかりとママを看取ってやろうと話し合ったり、子供達にも心の準備をさせるつもり・・自分達の考えもあるだろうと聞いて、とにかく最後まで家族三人でしっかりママを看取ってあげよう頑張ろうな」と話し合いを毎晩していた。

もうトイレもいけなくなって無理しないでいいからとベッドの脇にその都度運ぶようにしていた。子供と三人がかりで、抱き起こすのは子供でパンツを下げるのは私と初美が嫌がらない方法でしていたり、私が全部一人で出来ないのがはがゆかったけど、子供達も少しでもしてあげたいと思っている。家族で看病できる事が嬉しかった。看病も楽しいし「このままでもいいからいつまでもこうして続いてママが生きていてほしいな」と話し合っていたけれど確実に初美の身体は弱って来ている。

初美と二人っきりになると、「タバコ吸おうか」と言うと「うん」と言って、本当はもうタバコも吸いたくないのだろうけど私とタバコを吸う時間を惜しむように・・これもきっと想い出になってしまうと思いながら私が火を付けた煙草をふかして又話をしてても私の心配をして「哲ちゃん床ずれは大丈夫か」とか「疲れているから大丈夫か」とか自分のことよりも私の心配ばかりして私が死ぬことが怖いかと聞くと「怖くはないよ。しょうがないよ」と。それより「哲ちゃんは一人になったら実家のほうに行きなよ。妹にみてもらいなよ」。私が心配で仕方ないと言って「俺はもうお前が居なくなったらどこに行っても同じだよ。お前が居なくなったら生きていけないよ」と弱音を吐いたら「ダメだよ。哲ちゃんはちゃんと生きていかなければ」と言われて「大丈夫だよ。一人でやっていくから心配しなくて」と言ったけど私を置いて行くのが心残りで居るのはわかっていた。

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