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2017年4月

コラム「医師として、武士として」 Vol.81 「メタボ」から「フレイル」へ。      安藤 武士 Andou takeshi

1941年、新潟県生まれ。1967年、新潟大学医学部卒業後、医師登録と同時に外科研修を開始。72年、呼吸器・心臓血管外科を専攻後、80年より、心臓血管外科部長として日本赤十字社医療センターに勤務。87年より職域病院部長、2001年より職域診療所所長、2010年より佐野市民病院健康管理センター所長、そして 現在は、医療法人社団東華会・介護老人保健施設たかつ施設長として活躍。労働衛生コンサルタント・スポーツドクター(日体協)・健康スポーツドクター(日医)・認定産業医(日医)の資格を持ち、これらの5つの顔を絶妙な味で使いわける医学博士である。身体の大きさと、豪快な笑い・笑顔には、その人柄と存在感をより強くアピールする何ものかが潜んでいる。やはり'武士'にして"武士"ここにあり。

Vol.81  2017.4.23 「メタボ」から「フレイル」へ。

 歴史的に「肥満」は、体に脂肪が多く付すぎ容姿に関わる問題としてとりあげられてきた。“でぶ”とよばれていたが、差別用語であるので今は使われない。

19世紀初旬はゴヤの『着衣のマハ』『裸のマハ』で描かれている豊満な女性、ここ20数年余は、日本人なら誰でも知っているモデルとしてデビューした藤原紀香さんなどで代表される細身で脚線美の女性が、美しい人と評価されている。容姿の評価は時代とともに変わる。全く医学的問題は含まれていなかった。これも医学の発展とともに変わる。

健康の概念の話である。以前は、飢餓対策がWHOの中心であったが、現在は、飽食が問題になっている。それにつれて動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳血管障害)対策が重要な課題となった。当初、動脈硬化はコレステロールの管理にのみ重点が絞られ、新薬の開発によりある程度予防の目的は達せられてきたが、さらに増え続ける動脈硬化性疾患に対してコレステロールの概念を超えた対策が必要になった。

四半世紀前、過剰栄養、運動不足によって起こる肥満を基盤とする糖尿病、高血圧症、脂肪代謝異常症を併せ持つ症候群の概念が提唱された。その概念は、シンドロームX,死の四重奏、インスリン抵抗性症候群、内臓脂肪症候群と種々の名前で呼ばれていた。1999年、WHOを中心にそれらは集約され「メタボリックシンドローム:内臓脂肪症候群」という概念が確立されその「診断基準」ができた。本邦では2004年である。今日では、医学的にも「肥満」は健康障害を惹起するいみ嫌われる言葉となった。

本邦では、平成20年より始まった「健康診査・特定健康診査」、通称、「メタボ健診」が始まり、その病態が理解されているかどうかは別にして“腹周りを計る“いやな健診”と言われているが、そのためかどうかわからぬが「メタボ」という言葉が定着した。「メタボ健診」は40歳から74歳の間に実施するよう健康保険組合に「法」で義務づけられている。本邦では、「国民皆保険」なので原則としてこの年齢層の人は「メタボ健診」をすべからず受けることになっている。

「メタボ健診」の導入の目的は、寝たきり老人を作らないことである。急性期治療の飛躍的な進歩に埋没し、予防医学的な「メタボ健診」の効果は明確には見えないが、脳血管疾患、冠状動脈疾患は徐々に減少している。壮大な国家規模の予防対策による効果があったと思っている。25年後には効果が明確になり動脈硬化性疾患は更に減少すると思っている。本邦では、1945年頃がピークであった結核が、国家的対策で減少したことと同じようになるのではかいか推測している。

さて、超高齢社会を迎えている今日、次にどのような健康増進対策をとったらよいのであろうか。(続く)

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コラム「医師として、武士として」 Vol.80 トリアージとホロコースト 安藤 武士 Andou takeshi

1941年、新潟県生まれ。1967年、新潟大学医学部卒業後、医師登録と同時に外科研修を開始。72年、呼吸器・心臓血管外科を専攻後、80年より、心臓血管外科部長として日本赤十字社医療センターに勤務。87年より職域病院部長、2001年より職域診療所所長、2010年より佐野市民病院健康管理センター所長、そして 現在は、医療法人社団東華会・介護老人保健施設たかつ施設長として活躍。労働衛生コンサルタント・スポーツドクター(日体協)・健康スポーツドクター(日医)・認定産業医(日医)の資格を持ち、これらの5つの顔を絶妙な味で使いわける医学博士である。身体の大きさと、豪快な笑い・笑顔には、その人柄と存在感をより強くアピールする何ものかが潜んでいる。やはり'武士'にして"武士"ここにあり。

Vol.80 2017.4.1トリアージとホロコースト」              

2月21日、さる動物園で、園内のサルのDNA鑑定を行ったところ、そこで飼育されている164頭のうちおよそ3分の1にあたる57頭が外来種のアカゲザルと野生のニホンザルと交雑して生まれたサルであったことがわかり、去年12月から今月(1月)にかけて「交雑サル」を処分したと、報道された。フェンスの破損など施設に不備がありサルが出入りできる状態となっていたためではないかとしている。特定外来生物のアカゲザルは、この動物園では飼育許可がないためという。では、いまで飼っていたことは、どうして?、という疑問も残るがそれを論ずるために掲載していただいているのではない。故、議論はしない。

憤りを感じるのは小生だけではないと思う。飼育許可が無いと理由で処分したのなら、

許可のある園に移し飼育すればよいのではないか。断じて許すことができない。

40万-30万年前アフリカを出てヨーロッパに拡がったネアンデルタール人の中に中東を経てアジア内陸部のデ二ソアに移動し定住した人類集団もいる。酸素が少ない高地に適応した遺伝子を持つにいたと言われている。

我々のご先祖様であるホモサピエンスは、東北アフリカ(現在のエチオピア)で小集団として生息していた。5万年前、現生人類ホモサピエンスの内、150人ほどがシナイ半島を経てアフリカを脱出、各地に移動し5万年後の現在、全世界を支配し人口は74億人に達している。その間、兄弟姉妹・姪甥にたるネアンデルタール人やデ二ソア人は絶滅してしまった。人類が発生してから500万年の間に、現生人類ホモサピエンスは壮絶な争いに勝利したが、人類の孤児になったのである。

しかし、現世人類ホモサピエンスの数パーセントにネアンデルタール人とデニソア人の遺伝子があるといわれている。だからと言って、現世では、数パーセントの交雑ホモサピエンスを抹殺はしない。トリアージ(選別)は行ってはいけない。

ナチスは、世界をアーリア人の世界にするためホロコーストを行った。交雑で生まれたサルを処分することは、それと同じことではないか。あらゆる生きとし生けるものに対し、トリアージを行うような世界を作ってはいけない。

大袈裟な話になってしまった。家人が作ったイカの塩辛を肴に一杯を楽しみながら拙文を書いている。(完) 

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