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コラム「医師として、武士として」 Vol.80 トリアージとホロコースト 安藤 武士 Andou takeshi

1941年、新潟県生まれ。1967年、新潟大学医学部卒業後、医師登録と同時に外科研修を開始。72年、呼吸器・心臓血管外科を専攻後、80年より、心臓血管外科部長として日本赤十字社医療センターに勤務。87年より職域病院部長、2001年より職域診療所所長、2010年より佐野市民病院健康管理センター所長、そして 現在は、医療法人社団東華会・介護老人保健施設たかつ施設長として活躍。労働衛生コンサルタント・スポーツドクター(日体協)・健康スポーツドクター(日医)・認定産業医(日医)の資格を持ち、これらの5つの顔を絶妙な味で使いわける医学博士である。身体の大きさと、豪快な笑い・笑顔には、その人柄と存在感をより強くアピールする何ものかが潜んでいる。やはり'武士'にして"武士"ここにあり。

Vol.80 2017.4.1トリアージとホロコースト」              

2月21日、さる動物園で、園内のサルのDNA鑑定を行ったところ、そこで飼育されている164頭のうちおよそ3分の1にあたる57頭が外来種のアカゲザルと野生のニホンザルと交雑して生まれたサルであったことがわかり、去年12月から今月(1月)にかけて「交雑サル」を処分したと、報道された。フェンスの破損など施設に不備がありサルが出入りできる状態となっていたためではないかとしている。特定外来生物のアカゲザルは、この動物園では飼育許可がないためという。では、いまで飼っていたことは、どうして?、という疑問も残るがそれを論ずるために掲載していただいているのではない。故、議論はしない。

憤りを感じるのは小生だけではないと思う。飼育許可が無いと理由で処分したのなら、

許可のある園に移し飼育すればよいのではないか。断じて許すことができない。

40万-30万年前アフリカを出てヨーロッパに拡がったネアンデルタール人の中に中東を経てアジア内陸部のデ二ソアに移動し定住した人類集団もいる。酸素が少ない高地に適応した遺伝子を持つにいたと言われている。

我々のご先祖様であるホモサピエンスは、東北アフリカ(現在のエチオピア)で小集団として生息していた。5万年前、現生人類ホモサピエンスの内、150人ほどがシナイ半島を経てアフリカを脱出、各地に移動し5万年後の現在、全世界を支配し人口は74億人に達している。その間、兄弟姉妹・姪甥にたるネアンデルタール人やデ二ソア人は絶滅してしまった。人類が発生してから500万年の間に、現生人類ホモサピエンスは壮絶な争いに勝利したが、人類の孤児になったのである。

しかし、現世人類ホモサピエンスの数パーセントにネアンデルタール人とデニソア人の遺伝子があるといわれている。だからと言って、現世では、数パーセントの交雑ホモサピエンスを抹殺はしない。トリアージ(選別)は行ってはいけない。

ナチスは、世界をアーリア人の世界にするためホロコーストを行った。交雑で生まれたサルを処分することは、それと同じことではないか。あらゆる生きとし生けるものに対し、トリアージを行うような世界を作ってはいけない。

大袈裟な話になってしまった。家人が作ったイカの塩辛を肴に一杯を楽しみながら拙文を書いている。(完) 

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