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【私のメディア・リテラシー】第14回 「招かざる侵入者、ハクビシンと新型コロナウイルス」 尾﨑 雄 Ozaki Takeshi(「老・病・死を考える会プラス」世話人 、元日経ウーマン編集長

 暮れも押し詰まったある日、東京の住宅街で、ふだんは見慣れない“新住民”と出会った。ハクビシンである。今年最後のゴミ出し日。家庭ごみを町内会の集積場に置いて帰ろうとすると、頭上でカラスが騒ぐ。見上げると鼻先から尾の末端まで60~70㎝の尾の長い何者かが歩いている。2羽のカラスが交互に襲うが意に介せずスタスタと電線を伝っていく。ぶら下がるのではなく、細い線の上に四つ足で歩く。ハクビシンだ。
 太陽が出る前の薄明りゆえ、顔つきや体毛の色が定かでない。それを確かめるべく、その姿を追っておよそ数百㍍歩くと、街を掃除する高齢の住民が「あの辺に棲んでいる」と住宅街の一角を指さす。一気に寒さが身にしみ、自宅に引き返そうとすると別の住民が「家の中にも入り込まれても、住民が駆除することは禁じられています」と教えてくれた。帰宅すると午前7時。ハクビシンを追いながら30分も冷えた住宅街を徘徊していたのだ。すれ違った早起きの勤労者諸君は私を認知症老人だと思ったにちがいない。
 ハクビシンは日本に生息する唯一のジャコウネコ科の哺乳類だ。外来種だが侵入の経緯は詳らかではない。私は東京都文京区目白台に住む。その地で小学校から大学まで通ったが、ハクビシンとは初見参である。東京都のハクビシン捕獲報告は平成11年から。13年に36頭だった捕獲数は23年には737頭と10年間で20倍に増え、一時400頭まで、500頭台に減ったものの、令和元年には628頭に。出没する地域も自然の多い多摩地区から23区にシフトしている。農産物等に被害を与える害獣とされるが住民自身が駆除することは規制され、捕獲や死骸処分は専門業者に任されている。農村や過疎地の被害は大きく、住民が罠を仕掛けて駆除しているが、住民の高齢化によって自助努力も限界だ。
 ハクビシンも新型コロナウイルスも海外から忍び込んだ、たちの悪い厄介者だ。ハクビシンの自然分布はヒマラヤ、中国南部や東南アジアである。奇しくも新型コロナウイルスの原産地とされる地域と重なる。ハクビシンを初めて目撃した日、テレビも新聞も新型ウイルスのニューフェースであるオミクロン株の猖獗を予想し、危惧するトップニュースでにぎわっていた。
 新型コロナウイルスについては臨床医もアカデミアも様々な視点でいろいろな意見や予想を述べている。だが、ハッキリしていることは、その正体はあまりよくわかっていないという事実である。生態がハッキリしない点ではハクビシンも同様だ。ハクビシンの日本侵入の時期は江戸時代とも第二次世界大戦中ともされているものの定説はないという。
 和名は「白鼻芯」。額から鼻にかけて白い線が通る。私はその特徴を確かめようと夜明け前のひととき懸命に頭上のハクビシンを追ったのだが、夜が明けきると姿は消えていた。あの猫のようなイタチのような姿を思い起こすと、あれはハクビシンを装った新型コロナウイルスの化身ではなかったのか、老人の目に映った幻だったのか。
そうではない。翌朝の日経新聞を開くと、三菱商事の垣内威彦社長がこう語っていた。「新型コロナは人類が抱える課題や矛盾を映し出す鏡のようなものだ」(コロナと世界/針路を聞く」)と。

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