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【私のメディア・リテラシー】第15回 「私ノメディアリテラシー 在宅専門医殺人事件」  尾﨑 雄 Ozaki Takeshi(「老・病・死を考える会プラス」世話人 、元日経ウーマン編集長

在宅専門医殺人事件「在宅医療」に赤信号も 
今日(1月29日)の全国紙は埼玉県で起きた在宅専門医殺人事件を大きく報道した。読売新聞は1面脇トップ記事と社会面のトップで、他紙は社会面のトップ記事に。これはただの殺人ではない。コロナ禍によって、在宅医療が我が国の医療システムに不可欠である、ということが、やっとクローズアップされた矢先、その出鼻をくじいた。「コロナ禍」後ただちに国をあげて取り組むべき医療体制再構築の足元を脅かす大事件なのである。

「医師に謝らせたかった 母の死で逆恨みか」と読売は社会面に大きな見出しを載せた。他紙も在宅医療への不安をほのめかす。「発砲 訪問看護巡り不満か」(朝日)、「母の治療でトラブルか」(毎日)、「母の介護 対応に不満」(日経)、「在宅医療 トラブルか」(産経)と。

第6波のコロナ患者・感染者が自宅療養者の急増のさなかに

日経と朝日は同じ日の1面で在宅医療の崩壊を示唆した。日経は「自宅療養、最多26万人 第5波ピークの2倍」と見出しを、朝日もほぼ同じ見出しを掲げた。オミクロン株によって新型コロナウイルスによる患者・感染者のケアを自宅でしのぐつもりだったが、その数が想定を超えて増えている。「自宅療養者の急増に対して保健所や医療機関による健康観察が追いつかなくなり、業務の見直しも迫られている」(日経)。その最前線に立ってきたのが、今度の事件で斃れた鈴木純一氏のような在宅専門医。読売によると、鈴木医師は「第5波では、自宅療養者の健康観察に奔走。二つの在宅クリニックを運営し、2市1町の在宅患者の8割ほどに当たる約300人を診療していた」。地元医師会の会長は「彼を失ったことで、この地域の在宅医療が揺らぐ」と漏らして落胆する。

この事件は、常人の域を逸脱した短絡的かつ狂暴で反社会的な特殊な人物による凶行と見過ごすわけにはいかない。産経によると容疑者(66)は母親(92)と2人暮らし。近隣との接点はほとんどなかったようで、「1人で母親を介護していた」という。

閉塞社会が在宅医療の普及の壁になっている?

コロナ禍で仕事を失い、地域で孤立した中・高年男性が増えている。そのような人たちが孤立無援のまま、寝たきりの老親らを抱えて心身ともに疲弊し、それを逆恨みして凶行に至ったのだろうか。我が国は閉塞社会になっていることが事件の背景ひとつのような気がする。新聞、テレビなどの情報から推測すると、犯人は散弾銃を2丁も用意して医師らを呼び出し、待ち伏せの形で銃撃したようだ。そうだとすれば計画殺人とも言える。

もうひとつ気になることがある。日経によると、容疑者は「散弾銃2丁所持」していた。「2020年末時点で猟銃の所持許可を受けた人は全国に約8万3000人、計約15万6000丁」。銃を持つ人は「心身ともに健康であることを示す医師による診断書」(同)が求められることになっていたが、結果として惨劇が起きた。在宅医療に携わるエッセンシャルワーカーの命を守るためには銃規制の強化が必要になろう。

デジタル化が進む世界から周回遅れだった我が国もコロナ禍を機にDX化にエンジンがかかった。病床整備の面でも医療者と患者のメンタル面でも病院中心に偏ってきた我が国の医療。コロナ禍を奇貨として在宅医療シフトのタイミングである。そこに降って沸いたような在宅医殺人事件。せっかく盛り上がった在宅シフトの機運をどのようにして軌道にのせたらいいのか。国も自治体も医療界もそして医療を受ける国民も深刻な問題に直面している。

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