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【私のメディア・リテラシー】第17回 <「神風」だった16兆円のコロナ対策費>  尾﨑 雄 Ozaki Takeshi(「老・病・死を考える会プラス」世話人 、元日経ウーマン編集長

「コロナは神風だった!」 

ある公的病院のトップはこう漏らす。コロナ患者の治療にどれだけ尽力したかどうかはさておき、似た思いの病院長は少なくないだろう。「幽霊病床」によって潤った病院も。新型コロナウイルスの蔓延によってコロナ病床確保を申し出た病院には多額な補助金や診療報酬に対する特別加算金などが与えられ、さまざまな理由で窮地に陥っていた病院経営のカンフル剤になった。だが、それだけでは安心していられない。医療界には取り組むべき問題が山積している。

<誰が為に鐘は鳴る 「幽霊病床」に悪用も>

財務省が4月13日に公表した資料によると、新型コロナウイルスに対応するために投じられた国費は16兆円。うち8兆円が医療機関の支援に充てられた。その中身について各紙は厳しく報じた。「無駄排除へ」(4月14日付け日経)、「費用対効果、検証」(同読売)と。財務省は「病床確保料を受け取りながらも新型コロナ患者の受入れを伴わなかった病床(「幽霊病床」)の存在を明記した。
「新型コロナ対策」を錦の御旗に支給された“御下賜金”のお陰で病院経営は一息ついたのである。「全国140の病院を運営する国立病院機構の2020年度決算を見ると計576億円の経常黒字が計上」(読売)。地域医療機能推進機構(81病院)など公的病院の経営状態も好転し、民間の医療法人の経営実態もコロナ関連補助金を含めれば「堅調」だった。

<病院救済とコロナ対策がゴッチャに>

問題は“御下賜金”がなんのために使われたかだ。財務省は指摘する。「そもそも、医療機関の財政支援にあたって、減収補填など医療機関の経営支援と新型コロナ患者の受入れなどの医療機能の強化という2つの目的が混在してきたが、それぞれの目的ごとに効果的な政策手法を考えるべきである」
コロナ禍という「神風」のお陰で経営状態が持ち直したとすれば、医療界がすべきことは新型コロナの第7波、第8波に備えることだけではない。来たるべき新たな感染症パンデミックを想定した大改革の実施だ。言ってみれば医療構造のパラダイムシフトに取り組むことである。

<有事即応と経営の見える化を>

「平時の医療には、有事即応の機能と動員の仕組みをビルトインしておかねばならない」。災害医療の先駆者、山本保博日本医大名誉教授は医療行政と医療者の発想転換を促す。医療施設と医療者は、国公立か民間施設か、公務員か民間人かを問わず、国民のヘルスケアを護るための公共財である。そのマネジメントの担い手は、法人、個人を問わず公正・公平かつ適切な振る舞いを期待されている。医療機関に投じられたコロナ対策費16兆円の大半を占める公費の中身の「見える化」は当然だ。
「有事即応のビルトインと経営の見える化」はウィズ・コロナ体制づくりに向けた第一歩である。

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