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2010年9月28日 (火)

メッセンジャーナースが求められる背景

 21世紀に入り、医療者への説明責任意識がますます高まっていることから、その支援体制も整備されつつありますが、現実はどうでしょうか。日々寄せられる相談には、「医師の説明が分からない」「回復の実感がないのに規則だからと退院を迫られた」「早期の癌だからと唐突に告知された」と不安・不信を抱く患者・家族の声が聞えてきます。医師から「胃瘻」を造るか「点滴」をすることを勧められ、「どうして良いかわからない」という相談も増えています。急性期病院では、今後も在院日数の短縮・早期退院が進むでしょう。看護師は否が応でも治療・処置中心の業務に追われ、患者・家族は不安や疑問を抱え込むことになります。その不安・疑問の理由は千差万別でしょう。

 医療の受け手は自らの価値基準を示す場がなく、医療の担い手は十分な説明をする余裕がありません。一方で、急性期から慢性期、入院から入所・在宅に至るまでの間、一貫して患者・家族をサポートする存在がいないという制度上の落とし穴があります。医療現場・医療制度の情勢を鑑みて、医療の受け手の内面に潜む葛藤を受け止め、双方の懸け橋になれる存在が求められているのではないでしょうか。

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1・メッセンジャーナースとは」カテゴリの記事

コメント

メッセンジャーナースの皆さんであればどのように考え、行動されるかご意見を聞かせてほしくコメントしました。ケースについて紹介します。

診療のサポートをしている高齢者施設から、90歳代の女性が呼吸状態が悪化して、急変をしたと連絡が入りました。
既往は脳梗塞 現在 疥癬のため個室隔離されていました。

施設側の家族に書いてもらったアンケートでは、延命治療について家族は「希望する」本人は「希望しない」との記載もあり、医師は「延命治療はどこまで希望するのか?」と施設の看護師に投げかけたそうです。
施設看護師としても「どこまでするか?と言われてもわからない」との返答に対し、家族にも連絡はとっていましたが、連絡がつかない状況の中では、当院では延命処置はできないため高次医療機関に救急搬送が必要であろうと判断が下されました。

当院としては、延命治療は望まれず、自然な形での看取りを希望されるのであれば当院でも受け入れることはできるが、家族に引き続き連絡をとって意向を確認してほしいと依頼をして、連絡をまっておりました。

しばらくして、施設スタッフから、家族は「延命処置は希望していないそうです。」と連絡が入りました。

一瞬、それならば当院で受けようという空気になりました。

しかし、いままでと違う返答でもあり、家族にも直接確認した方がよいと考え、電話をしたとことろ、「気管切開のような延命治療は望みません。」と返答がありました。
この言葉に対して、隣で一緒に対応していた医師が、医学的な説明をきちんとする必要があると判断し、延命処置について、気管切開と気管挿管の違い等説明をしてくれ、家族は「命は救ってほしい。しかし、体を傷つけるような医療処置まではしてほしくない。」と希望されており、このまま高次救急に搬送させてもらうこととなりました。

最終的には、気管挿管をし、消化管出血による腹膜炎と誤嚥による呼吸不全と診断され手術を行うことになったようですが、かなり厳しい状況ではあるようです。


この後、すぐに施設の方と話し合いをしました

①家族と本人の延命処置に対する思いの違いに対して、事前に確認していたが、書類上の確認のみで、事前に対応できていなかったことについて。

特に家族と本人の思いが違う方については、双方の思いをお互いに確認できるような場を設け、そのうえでもう一度意向を確認することが必要であろうと考え、ここについては、施設看護師が対応することになりました。

②「延命治療をどこまで行うか」といっても、家族も施設スタッフもわからないという問題については、延命治療についての学習と、書類の延命治療についての具体的記載を行うことになりました。
そのうえで一番大切なのは、本人と家族との話し合いであり、今すぐにすべての確認はできないが、入居者の方、家族とどのようにこの施設で過ごしていきたいのかも含め、急変時のことだけでなく、どのような最期の時の過ごしたいのかコミュニケーションをとっていくことが必要であろうと話し合いがなされました。

この施設は看取りまで行ってくれる貴重な施設でもあり、今回のケースについても多くのスタッフが一緒に真剣に考えてくれたことをうれしく思っています。

私としては、施設看護師が「必要以上の治療はしてほしくない」患者と、「なんとか命を永らえてほしい」家族のそれぞれの思いをくみ取りながら、双方が納得できるように話し合いができるお手伝いができればと考えています。

私のもう一つの課題として、言葉の解釈や捉え方の違いからくる誤解(今回は気管切開と気管挿管の違い)に対し、きちんと修正できるよう、常にわかりやすい言葉を使うよう意識すること、医療をとりまくさまざまな問題にアンテナを高くはり、情報をキャッチしておくことも必要だと感じました。

皆様のご意見も聞かせていただけるとうれしいです。

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