【起業家ナースのつぶやき】Vol.55 医療の限界は看護の力で回避できる その2
起業家ナースのつぶやき ● 村松静子 Muramatsu Seiko
Vol.1-vol.45 ⇒ こちら
Vol.55 2014.1.13
「定年退職、バンザ~イ!」などと言ってはいられない。看護師だから持っている真の力を発揮できるのはその後かもしれない。看護の力は、超高齢化する社会にとっては大いに役立つはず。第1に、問題視されているインフォームド・コンセント。医師と患者・家族の意思疎通・解釈・納得を生み出す懸け橋になることができる。身についた観察力・判断力・高度医療の知識は活かせる。加えて、それまで経験した多くの事例を基に対話の研鑽を積むことで看護力は磨かれる。その必要性を感じて動き出したのが「メッセンジャーナース」の認定を持つ看護師たちである。長年培ってきた看護の実力と本来の看護師の役割意識を絶やさない同志の環、その社会参加の仕組みが地域性を重視するメッセンジャーナースによって、各地に拡がり始めている。そろそろ、その看護力を必要とする人たちが、全国どこからでもアクセス出来る、使いやすいシステムをつくらなければいけない。とはいえ、今の最大の課題は、メッセンジャーナースの活動コストをどのように捻り出すかである。看護力を活かそうとすると、必ず資金の捻出にぶつかる。情けないというか、不思議なことだ。それだけ看護が評価されていないということなのだろう。いずれにしろ、この課題をクリアするためには、その事情に精通した人材のプロジェクトチームを立ち上げ、計画的に取り組むことが不可欠だ。
医療の現場は今後もますます高度化・複雑化して行く。そんな中では、熱心な看護師ほど、本来の役割が果たせていないと嘆き、物足りなさを感じている。何時の日か、何らかの形で本来の看護を行ないたいと思っている。そんな彼らには心の余裕を与えることが必要だ。そして、改めて今の医療現場を振り返らせる。そうすることで、医療の受け手が『納得』して治療を受けられるよう手助けすることは、看護師の大事な役務であることに気づく。
高齢者の医療にはいくつもの課題が潜んでいる。その課題解決に取り組むには医療の担い手と受け手の懸け橋になる人材が必要である。その懸け橋に最もふさわしい人材とは、今の医療現場に違和感を抱き、このままではいけないと、さらに研鑽を積もうとしている看護師であろう。医師によるインフォームド・コンセントが短時間で確実に効果をあげることを支えることにもなる。医療の受け手が自らの生き方を考えた上で、主体的に治療・処置を選択できるよう、延命のための治療や処置、薬剤の大量投与等、過剰医療を自ら避けられるよう、時に促し、時に代弁し、傍らから支持するのだから。
看護の力は、高齢者一人ひとりが自分らしく生きることの意味に気づき、自分らしく生き抜くことを支えられる。磨かれた看護の力を最大限活用することで、医療の現場に立ちはだかっている壁を乗り越え、その行き詰まり現象を回避できるはずなのである。
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